[声をかけてきた相手の方へ顔を向け柔和そうな笑みを向ける]

こんばんは、旅のお方
これは大昔にこの村や近隣で起きたと言い伝えられている時盗人の伝承に関する資料ですよ
役場的な手続きはおおむね完了していますので村長からの最終指示があればいつでも開始できますよ

［柔らかな笑みにつられて、表情がほどける。
少しの緊張を含みながらも、笑みを向けた］

ルイだ。…です。あなたの名は？

［歩み寄り、興味深げに資料を覗き込む］

……へえ。
本当に、…本当に物語のような事件が起こっているんだね。
昔伯父から時間泥棒の捕り物の話は聞いたことがあるけれど、半分以上作り話だと思っていた。
どういった手法で時間なんて盗んでいるのだろう。

手続き…ということは、こちらも何か書類を用意したり、身分証明のようなものが必要なのかな。

[覗きこんでくる旅人に資料を見せながら]

時間担当局のギュンターです
手法や動機などの詳しい事は分かっていないようですね
やはり被害を受けた人の手記や取り押さえた人の英雄譚が多くて手がかりになるのかどうか…

あ、皆さんに手続き上でご面倒をかける事はないと思いますが
なにぶん私も初めての事ですので…

［見易いよう資料を並べてくれるギュンターに小さく礼を伝えつつ］

時間担当局。…へえ、専門の担当部署なんてあるんだ？

…そういえば、これはあなたに相談すればいいのかな。
昨日、…私の主観での昨日ということだけれど…、この村の図書館で本を借りたんだ。
ここの村人ではないから、ゲスト用の図書カードを作ってもらったのだけれど──。

日をこえたら、案の定借りた小説も作った図書カードも消えてしまっていて。
小説はまだ読みかけだったのだけれど、また借りるには再び図書カードを作る手続きが必要な訳だろう。読み切るまで毎日手続きを繰り返すのは少し億劫なんだ。

何とか、取り計らって貰うことは出来ないかな？

……う。

［手のひらで腹あたりを押さえつつ、俯いた。
やや耳の先が熱い］

…ヨハン、明日の朝食用に手持ちのパンを売ってもらえるか。

…あ。
うん、どのパンがいいかな。
瓶入りジャムもあるよ。いちごにオレンジマーマレード、木苺に黒すぐり。

ちょっとジャムのバリエーションは偏ってるけど。

……わあ。

［微かに、声のトーンが上がる］

えっと、ええと、……じゃあ、いちごがいいな。

［これ、と嬉しげに赤いジャムを指差した］

公式の資料はあまりないのか…。

[ちゃっかり覗き込んでいる。]

役人のお仕事って大変だね。
お疲れ様。
それ、後で読んでみていいかな。

ほい、まいどありっ。
いちごいいよねいちご。
パンはフランスパンがいいかな。

[籠からいちごジャムを取り出して]

うん、フランスパンがいい。
ありがとう、ヨハン。

［硬貨とジャムを交換しながら笑んだ］

…じゃあ、私はそろそろ休もうと思う。
このまま起きていたら、匂いにつられてつまみ食いをしてしまいそうだし。

おやすみなさい。

［一礼して、小走りで部屋の隅に駆けて行く。
羽織っていたケープを敷いて、寝床作りを始めた］

つまみ食いしたくなる気持ちはわかるけどね。
うん、おやすみ。

あ、確か客室が奥の方にあったはずだよ。
床じゃ痛そうだし、借りちゃっていいと思う。

じゃ、ぼくは店に戻るよ。おやすみ。

ふぁ…おいこらカタリナ、動くな。

白いのがカタリナ、黒いのがルカだ。