Geschichte von Werwolf 《SchwarzWeiss》 

8 40日戦争 〜くれなゐの大地〜


(4018)

獣医師 フレイ

2007/07/24(火) 03:24:57

応接のソファーに腰掛けて、ノエルの入れてくれたインスタントコーヒーを飲みながら室内が暖まるのを静かに待つ。空になったカップをコトリとテーブルに置く。

帰りに買って来た新聞を広げるが、目が文字を追っているだけで内容は全く頭に入ってこない。心は別のことに捕われ、ここにあらず。この一年のできごとが、脳内に走馬灯のように蘇っては走り去って行く。

やがてソファーの隣に座ったノエルに何か語りかけようとするが、うまい言葉が見つからない。何を言っても薄っぺらく聞こえてしまうように思えて、視線は新聞から、窓の外やノエルの顔、部屋の奥とを行きつ戻りつ。
永遠とも思える沈黙の後

・・・ありがとう、ノエル。愛してるよ。

口をついて出たのは、何の脈絡のない言の葉。ただ万感の想いを込めて。

ゆらゆらと揺れる暖炉の炎が二人を照らしていた。