僕は職業柄いろんな人に会うし、いろんな話を聞く。
日々たまにやってくる人を診察して、薬を出して、また別の人を診察する。その繰り返し。なんの変わり映えもない退屈な毎日だよ。

あの日もいつものようにのんびりしながら診療所を開いて、たまにやってくる人を診察してた。
いつもと違ったのは、見かけたことのない老夫婦が訪ねてきたことだった。

小さな村だから全員の顔と名前くらいは覚えてる。
老夫婦は予想どおり村外からわざわざ訪ねて来たらしい。
なんでも、村にある診療所でどうしようもないと言われ、ワラにもすがる思いで訪ねてきたのだそうだ。