[…の頭の中には、次の雨期に向けての水車小屋の補強や、食糧の備蓄の確認、そして川の氾濫の危険性の調査などが詰め込まれていた。そこに飛び込んできた役場からの知らせ]
[仕事以外には睡眠と食事にしか目がいかない為、きっとこの知らせがなければ、時間の繰り返しに気付かずに仕事を続けていただろう]
…………仕事を遮る者を排除するのも、また仕事か。
[ひとつあくびをして、ふとパンツの後ろに携えている『時計』に手をやる。銀の古い懐中時計。この『時計』を託した父も、また役人だった]
こいつがなければ、私はずっと仕事ができたのだろうかねえ……。