すでに日課となってきた夜の散歩。久しぶりに袖を通した僧衣を纏ったまま、満開の桜の木の下でふと立ち止まり月を見上げる。ノエルを失ってからもう何日が過ぎたのだろう。私の中で、ノエルが少しずつ薄くなっていく。彼女の声を、顔を、温もりを、思い出そうと空に手を伸ばす。春の風が優しく頬を撫でた。いつか、笑顔に戻れる日が来るのだろうか。