ねぇ、知ってる？　あの噂。　あの事件って本当はね……。

たいへん、たいへん、たいへん。

村に はむ☆すた が入り込んだんだって。
ホラントおにいちゃんが噂してたよっ！！！

たいへんだぁ〜〜〜〜

ヒルダ、それほんと？

ハムスター人間は狼様の天敵……。
ここは狼様を崇める狼様の為の狼様による村。
村には必ず狼様の力を宿す申し子が居て、常に村を守って暮れているという……。

なのに最近では狼様を崇めない人間がいるという話も聞くし、物騒なもんだよね。ねぇヒルダ。

ふふふっ。

ねえ、狼様のいらっしゃる村は、ここで合ってる？
あたしはツィンカ。狼様に魅せられた者さ。

…どうやら、お呼びじゃない時に来ちゃったかねぇ。
殺人事件に、はむすたぁの噂とは。

ふふっ…怖い怖い。

ようこそツィンカ。あたしアナ。
そうだよ。ここが狼様の村。
あっちが狼温泉。こっちが狼塾。あそこが狼協会。ここは狼学校。あれは狼商店。そこは狼床屋。狼獣医。狼大工。武器屋「狼」。……とかそんな感じだよ。

あらあら、可愛らしいお嬢ちゃん。こんにちは。
余所者にも狼様の加護はあるのかしら。
施設の恩恵は、存分に受けられそうだけど。

［狼だらけの街並みを、楽しげに見渡した］

狼塾とか狼獣医って、狼様専門なのかしらね。
それとも、狼様が面倒を見てくださる？
面白いわ。

そこはお楽しみ。いってみたら？
大丈夫、余所者でも狼様を崇める者は立派な村の一員よ。
……狼様を、崇めるものは、ね？

偉大なる狼の王よ、忌まわしき蝙蝠共より狼様をお守り下さいませ。

[逆十字のロザリオを胸に架け、狼の偶像に祈りを捧げる]

……はむすたぁ人間が入り込んだだなんて。
嗚呼、何て恐ろしい事でしょう。
しかも、巷の人間まで混ざり込んだとは。

メルセデスさん、こんにちは。
協会の人もその噂話をしてるんだ。

ヒルダ、アナ、こんにちは。
そこの旅人さんはツィンカさんと仰るのですか。
私はメルセデスと申します。

狼王に祈りを捧げたい時はいつでも我が教会へどうぞ。
逆十字が目印ですのですぐ判りますよ。

ええ、噂が本当ならば一大事ですから。

狼様の天敵たるはむすたぁは勿論ですが。
初代ローマ王の乳母が狼様である事も忘れ、
不届きにも狼様を貶める愚かな人間共がいるならば
必ずや裁きが下るでしょう……と。

あら？
誰かの気配がしたと思ったら、神父さんが説法にいらしたのかしら。

ふふふっ…
狼王の教えなんて、よその土地ではとんと聞けないものね。
ぜひとも、祈りを捧げに伺うわ。
お供え物を持って、ね。

お嬢ちゃん、教えてくれてありがとうね。
いろいろと見学させてもらったわ。

仕事も見つかったし、しばらく逗留することにしたよ。
夜の酒場で踊っているから、興味があったら見に来ておくれな。

あはは、説法などというほど堅苦しいものではありませんよ。

宜しければ狼王の神話から教えまで、
何でもお話して差し上げますとも。
是非、お待ちしております。

では、夕刻の祈りがありますのでまた後程に。

美人な上に、気さくな神父さんで助かったよ。
堅苦しいのはあたしも苦手だからさ。
よろしくお願いね。

……美人？

たいへん、たいへん、たいへんだよ〜。

ねぇヒルダ、メルセデスさんって……どっちなんだろ？
男だと思ってたけど、美人って褒められてたよ。
世に言う男の娘さんだったりするのかな。

神父様？

でも、美人って男の人にも言うからね。
美人ってよりはかわいいって方があってると思うけど、ヒルダちんは。

そうなんだ。ありがとう、勉強になったよ。
ヒルダも可愛いよね。

かくして、はむすたぁ人間は男の娘かもしれないとか、いやいや女の漢かもしれないとか、いい加減な噂も広まるのであった。

真実は一片だもんね、うん。

静かな夜ね。こんばんは。

あら、お嬢ちゃんを惑わせちゃった？
ふふふっ…美しいと思えば、性別なんて気にしないのよ、あたしは。

それにしても、いつの間にか神父さんがはむ………
まぁ、無粋なことは言わずにおこうか。

はむすたぁ人間ってどんな見た目なのかねぇ？
可愛らしいのを想像してたんだけど…
人間と付くからには、人間大なのかしら。
……いくらはむすたぁでも、人間大だと可愛いと思えない、かも。

美人だなんて畏れ多い。　ちょっとばかり童顔なだけですよ。

[小さく苦笑して]

はむすたぁ人間、実に謎な存在です……。
狼様でも正体が判らない事もあるそうですし。
人間が退治した時には溶けてしまうという噂もありますし。

溶けるといえば、最近は暑いですね。
アイスでも頂きながら夕涼みでもしましょうか。

はひ〜。　走り回ってつーかれた。

わぁ、このアイスもらってもいいの？
神父さま、ありがとぅなんだよっ♪

えー、アナってば。
かーいいってのは、アナとか神父さまみたいな人の事ゆーの。

ヒルダちんは、ほら。
ちんくしゃだから、気を使わなくってもいーんだよ〜。

おいし〜ね☆

ありがとう、メルさん。
……。

ヒルダは元気一杯、って方が近いかな。
え、はむ☆すたって溶けるの？
何だかグロいね。異教徒のうらないとかって儀式は、どんなことをするのかな？

ツィンカも、美しいっていうやつだね。
綺麗のほうかな？えきぞちっく？
はむすたー人間かぁ。狼様にも食べられないってことは、雑菌だらけなのかな。

今日は良い天気だね。

い〜い、天気だねぇ。

こんな平和が続けば良いのにね。
いつまでも。

ふぁ〜、暑いわあ。
本当に溶けちゃいそうだよ。

はむすたぁは人間に退治されると溶けるのかぁ。
身体は何でできているんだろうね？
あ、アイスありがとうね、神父さん。

あはは、お嬢ちゃん、褒めてくれてありがとう。
この辺じゃあ珍しいみたいだね、あたしみたいなのは。

はむすたぁは雑菌だらけで食べられないのか。
溶けるってことは柔らかそうだけど、食べたらお腹を壊しちゃうから、狼様に捧げるなんてもっての他だね。

……うーん、あたしの中で、どんどんブキミな生命体になっていくよ。はむすたぁのイメージが。

っふぅ。これで準備は万端と。
あたしの踊りを見に来てくれる人、増えたら嬉しいね。

料理を用意して、い〜い匂いで客寄せを…
とも考えたけど、人前に出せるようなご馳走、あたしには無理だわ。
普段、自分の分しか作らないもんだから。
手抜きが癖になっちまったよ。やれやれ…

あの雲とかブキミでハムスターっぽいよね。
形が変わって溶けてるみたい。

パンとか、鍋とか、鶏肉っぽい。
……お腹が減ってきた。

いーいーなー。いーいーなー。
おーかみって、いーいーなー。

美味しいおやつにほかほかごはん♪

こどものかえりをまってるだろな♪
ぼくもかえーろ、おうちへかえろ。
わんわん、わおーんのわんわんわん。

晩御飯なんだろ。

ツィンカの所でご飯食べられるのかな。
あるいはメルさんの所とか。
誰かが挨拶に来た時にたかるとか。

はむすたぁ人間って、何を食べるんだろね。
ヒマワリの種？
吊っとこハム太郎？
ハム…ソーセージ？
食べたいなー。

おなかすいちゃった？

それじゃ、この間の取引（ごにょごにょ）でいくらか手持ちあるからヨハンさんとこにパン買いにいこっか？

ヨハンさーん、おーかみ印のおーかみパン、下さいな〜♪

平和ですね……噂が嘘のようです。

食事、ご一緒しますか？
今日は裏の森で獲れた新鮮な鹿肉のソテーです。
狼様に感謝しながら頂きましょう。
勿論、お望みならばソーセージも。

教会の地下には色んなお肉があるのですよ。
いつでも狼様にお捧げできるように、ふふ。

わぁ、ありがとっ♪
ふんわりほかふか、お〜かみさまのきゅーとな形。
おいしそ〜♪

はい、お代です。

わ、びっくりした。

こんばんは、ヒルダ、アナ。
おやおや、驚かせてしまったかな。

[飛び上がる様子にくすりと笑って]

お買い物、偉いですね。
ヨハンさん、私もお一つ下さいな。

もー、いきなり声かけないでよー驚いたじゃない、にゃはっ。

ごはんって、もしかしておごり？　だったらいくー。
ね、アナ。

あはは、そんなに吃驚するとは思わなくて。
ごめんなさいね。

ええ、もちろんお代なんていりませんよ。
お肉はたっぷりありますから。

やったぁ♪

そーと決まったら早速いこっ、ほらっ。

それじゃあ、一緒に帰りましょうか。
ツィンカさんやホラントの分も用意しておきましょう。

……それにしても、ホラントは普段何をしているのでしょう？

そんなに急がなくても、お肉は逃げませんよ。
可愛いですねぇ……。

ハムソーセージ美味しそうー。
メルさん、いつもありがとう。

ハムソー星？

ヒルダ、きっとはむすたぁ人間って宇宙人だよ。
溶けると中身が出ちゃうみたいな。

結局どっちなのか分からないけど、優しいメルさん。
いつもありがとう。

鹿肉って美味しいんだね。
狼様への捧げ物、食べちゃって良いのかな。

ツィンカ来るかな。仕事、忙しそう。
旅の人ももっと来るといいよね。

ホラントは……。

狼様に夢の中で食べられそうになったとか、まるで狼様を信じてないみたいなこと言ってた。

狼様への捧げ物、美味しいね。

はい、お疲れさまーっと。
ふふっ。ここの人たちは気前がいいねぇ。

だいぶ遅くなっちゃったけど、教会へ行っても大丈夫かしら。
狼王様について、色々と知りたいし、ね。

あ、ツィンカきた。

んっ…なんだか良い匂いがするね。
そう言えば、お腹すいたなぁ。
夕飯が余ってたら、恵んでくださるかね？

あら、お嬢ちゃんもこんばんは。

こんばんは、ツィンカ。
メルさんはツィンカの分もって用意してるよ。

え？
わお！来るって約束してた訳じゃないのに用意してくれていたなんて、なんだか嬉しくなっちゃうわ。
これ、何のお肉かしら。美味しそう！

ふふふっ。狼王様に感謝しつつ、頂くとしようか。

ツィンカのことね、たぶんメルさん気に入ってるんだよ。美人って言ってくれたからかな？

狼王様へ、感謝。
みんなでやればこわくない。
みんなと食べればおいしいね。
みんながいるからたのしいよ。
って教わった。

ツィンカ、仕事楽しい？

あたしのこと、神父さんが気に入ってくれてる？
うーん、あんまり態度が違うようには感じなかったけどねぇ。
ふふふっ、そうだったら嬉しいな。

［ひょいっと最後の一切れを、口へ］

仕事？
ああ、楽しいよ。

時々、いや、しょっちゅうかな？
面倒になることもあるけど、これがあたしの天職だなって感じる時もあるのさ。
だからやめられないね！

お嬢ちゃんには将来、何かやりたい仕事、あるのかい？

仕事？んー……。
ツィンカみたいに楽しそうに仕事してみたい。

踊り、楽しい？
やってみたい。

ツィンカの踊り、今度見に行くね。
ヒルダもいこう？

うん、バランス感覚は良さそうだし…

［アナを改めて、まじまじと見つめた］

将来有望そうだものね。

狼様を信じない人間達だって、遠くから一目見ようと集まって来ちゃうような。
そんな大スターに、なれちゃうかもしれないね。

大スター？
ツィンカはそれになりたいの？

あはは、あたしにゃ無理さ。
大スターになるには、燻ってる期間が長すぎたねぇ。
お嬢ちゃんは正にこれからだけど、あたしはもう下り坂。

いつまでこんな生活続けていくんだろ。
とか、そんなことばかり考えているよ。

そんなことないよ、ツィンカ。
きっとね。

今からでもツィンカならだいすたーになれるよ。
信じて？

ああ、ごめんごめん。今のは忘れて？
お嬢ちゃんの…アナちゃんの綺麗な目を見ていたら、言わなくて良いことまで口に出してしまったよ。

そうだねぇ…大スターまでは、さすがに望まないけど。
酒場の片隅じゃなくて、歴とした劇場の舞台に立つくらいにはなれるって、信じてみようかな。

ありがとね、アナちゃん。
えへへ…元気、もらっちゃったわ。

うん。ツィンカを信じてるよ。

狼王様の教えにね、信じれば上手くいくっていうのがあった。
信じてもらわないとね、真実ってうまくいかないんだって。
だから信じればいいんだよ。
ツィンカのこと、信じるから。

あはは…参ったねえ。
じゃあ、がんばってみようか！
狼王様も、見守っていて下さるといいけど。

うん。がんばってなんとかなるなら、がんばるといいよ。

信じれば叶うなら、どんなに素晴らしいことか…

さてと、ご馳走してもらったんだもの、食器の片づけくらいはさせてもらうよ。
…あちゃー、あたしも気が利かない。
教会に来るのに、お供え物のひとつでも用意してくれば良かったね。

信じなければ。

叶わない。
適わない。
敵わない。

おはよ、みんなっ。

神父さまごはんとおいしかった。
それに、泊めてくれてありがとっ。

ちょっとお仕ご（ごにょごにょ）いってきます。
大丈夫危ないことじゃないから心配しないで。

あっ。

よしっ。
いってきま〜す♪

ヒルダ、いってらっしゃい。

あぶないおしごと？

危なくない仕事。
おとなの事情。
ことなかれ主義？

ヒルダ、ありがとう。

メルさん、図書館いってくるね。
昨日はありがとう。

大人の仕事？知らない仕事。
どんな仕事？色んな仕事。

誰でも出来る簡単なお仕事です。
個別の案件にはお答えしかねます。
法と証拠に基づいて適正に対処します。

……ヒルダの仕事はどんなのだろう。楽しい？

迷子の迷子の人の子よ。
あなたのおうちはどこですか。
おうちをきいてもわからない。
なまえをきいてもわからない。

ひーとーのーおまわりさん♪
困ってしまってわんわんわおーん♪わんわんわおーん♪

ツィンカさんもいらしてくれたみたいですね。
お片付けまで……ありがとうございます。
貴女の気立てに器量ならきっと人気者になれますよ。

これで今まで燻っていたというのですから、
巷は見る目がありませんねぇ。

アナは図書館でお勉強ですか？　偉いですね、お気をつけて。

ヒルダはお仕事に出かけたみたいですね。
何か面白いお話があったらこっそり教えて下さいね。

さて、私も時間もある事ですし。
月に一度の大事なお掃除でもしましょうか。

………むにゃっ？

あらららら、気付いたらもう日が暮れかけてるじゃない。
久しぶりに上等な布団にくるまったもんだから、つい……

神父さん、部屋貸してもらったよ。ありがとね。
お世辞でもそう言ってもらえて、嬉しいよ。

ただいま〜。

（ふぅ、危なかった。
　秘密のお手紙奪われちゃうとこだったよ。
　何とか依頼先に届けられて良かった、信用問題だもんね）

おーかみ様、おーかみ様、
今日も一日お守りくださってありがとうございます。

神父さーん、おーかみコロッケお土産に買ってきたからお台所においておくね〜。

へへ、アナ喜んでくれるかなっ。

春眠暁を覚えず。
良い気候ですね……つい昼寝したくなってしまいます。
ツィンカさんもよく眠られていたようで。

[微笑ましげに]

おや、お帰りなさい、ヒルダ。
おかずを買ってきてくれたんですか？　ありがとうございます。
じゃあ、今日はおーかみコロッケによく合う
美味しいスープを作りましょう。　皆さん温かい内に召し上がれ。

……………
ゴロゴロしていても食事にありつけるだなんて、夢のようだね。
このまま慣れちゃうと、色々鈍りそうだよ。

さてっと、食べて寝てじゃあ太ってしょうがない。
少しは身体を動かすとするかねぇ。
確認も兼ねて、久しぶりにこいつもやろうか。

ツィンカ？

.

ヒルダ、ただいま。

いっぱい本読んできた。
ヒルダは仕事、楽しい？

ヒルダ、いつもありがと。

お帰り、アナ♪

ご本たくさん読んだんだ、良かったね♪

ん？　お仕事？
どだろ、あんまり考えた事なかったなぁ。

仕事の楽しさかぁ、稼ぐためとしか思ってなかったの。
さすがアナは難しい事考えるね。

狼王様へ、感謝。
みんなでやればこわくない。
みんなと食べればおいしいね。
みんながいるからたのしいよ。

そして、いざとなったらみんなで守ります。

ほら、食べるよ、アナ。

いただっきまぁす♪

　　（むぐむぐ）
　　　（もぐもぐ）

　おいし〜ね♪

ヒルダ、がんばりすぎるのはよくないよ。

コロッケ美味しいね。
ころころコロッケ。

メルさんのスープはなんでいつも美味しいのかな？

(疲れたら、これ使うといいよ。)

メルさん、今度スープ一緒に作りたいな。
今日もありがとう。

がんばりすぎ……？　ううん。

タバコ？　あぁ、これだね。

まいど〜。

さ、次の取引場所いかなきゃね。

ハムスターって、穀象虫？

適量：少々ってどれくらいのことなんだろ？

はぁ…やれやれ。
これから仕事だって時に小道具を置き忘れるなんて、いよいよトシかしらね〜、あたしも…あら？

［置かれていたぬいぐるみとメモに気付く］

文章の感じからすると、アナちゃんかな、これ。
どうやって使えと？

…さすがに、もううさぎさん抱っこして寝たりはできないんだけどなぁ。
もし誰かに見られたら、その、色々と困るわ…

あちこち痛んでいるわね。
裁縫道具借りて、後で繕ってあげようか！

ふぅっ…心づくしを無にしたくはないけれど、どうしたもんかしらね〜。

［うさぎに向かって首を傾げている］

その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない。

８から９は引けない。
……分かる気もするけど、分からない気もする。
どっちなんだろう？

いけないいけない、一仕事終えてうたた寝をしていました。
今日はザワークラウトを漬けるつもりだったのに。

あ、メルさん。

アナは今日もお勉強ですか？
考えるのは良い事です。

苺のプリザーブ（砂糖漬け）がありますから、おやつにどうぞ。
頭を使うと甘い物が欲しくなりますよね。

メルさん、ありがとう。
ザワークラフトってキャベツの漬物かな？
一緒にやってみたいな。でも、おやつ。

ええ、そうです。　ソーセージとよく合う、キャベツのお漬物。
それじゃあ、おやつの後に一緒に作りましょうか？

スープの作り方もまた今度、教えてあげますよ。
アナは良いお嫁さんになりそうですねぇ。

ありがとう。メルさん、楽しみにしてるね。

お嫁さん？
メルさんは、お嫁さんほしい？

ええ、時間は沢山ありますから。
ゆっくり味わって食べてください。

お嫁さん、ですか？
そうですねぇ……今まであまり考えた事がなかったですね。

人間達の教会では神父はお嫁さんがもらえませんが。
ここは人間達の教会とは違いますから。

私みたいな気ままな神父でも良いと言って下さる方がいれば、
悪くないかもしれませんね。

ツィンカとかお勧めだよ。
ヒルダも元気。
メルさん、頑張るといいよ。

ふふ、まさか女の子に結婚を勧められるとは思ってもみませんでした。
ツィンカさんは素敵な方ですね。
ヒルダもしっかり者で心強いですし。
私も少し、考えてみても良い頃合いかもしれませんね。

[朗らかに笑うと、少し首を傾げて]

アナには誰か、好きな人がいるのかな？

んー……。

好きな人はメルさん、ツィンカ、ヒルダ、他にも村の中にはいっぱいいると思う。

私もアナや村の人、皆大好きですよ。
きっといつか、その中から“特別”な人ができますから。

その時は、想いが実ると良いですね。

特別な人？

信じて叶うものと一緒かな？
メルさん、おやつありがとう。美味しかった。

あはは……困りましたね。
色んな説法問答はしてきましたが、こんな問答は初めてです。

お父さんとお母さんは、一人ずつですよね？
それは、二人が特別同士だからなんですよ。

特別同士……。
ツィンカが時々寂しそうなのも。
ヒルダが時々悩んでるのも。
特別な人がいれば、幸せになれるのかな？

いいえ、どういたしまして。

[プリザーブの瓶をきゅ、と閉めて]

信じて叶うもの、の一つかもしれませんね。
信じ合う者同士には強い絆ができるといいますし。

それじゃあ、一緒にお料理しに行きましょうか。

そうなんだ。強い絆。

うん、料理楽しみ。メルさんの作るものはいつも美味しいのって何でなんだろう。

う〜ん……安酒は悪酔いしそーねぇ…
はぁ。
狼王様のお話を〜と言いつつ、神父さんの起きている時間に寝てて、寝てる頃に帰ってくる日々ね。
なんだかすっかり教会をねぐらにしちまってるけど、良いのかしら。

狼王様〜、いつも世話になってるね〜。
……こんな軽いノリじゃダメかしら。

ふふふっ。

あ、ツィンカ。おかえり。

おおっと！？

アナちゃん、まだ起きてたの…

あはは、誰もいないと思ってたから、おねーさんびっくりしたよー。
ふぅ。
お水〜、お水はないかな？

お酒飲んできたの？
機嫌良さそう。お水はこっち、座ってて。

ツィンカ、お水。

あ、ありがとね〜。

うん、ちょっとほろ酔い加減なのよ〜。
大丈夫よ〜、あたしは酒癖悪くないと思うから。
……多分。

あははははは！

うん、楽しそうで良いと思う。

これじゃあどっちが年上だか分からないわね。
ダメなおねーちゃんでごめんなさい。

……ふぅっ。

そう言えば、うさぎさんを部屋に連れてきてくれたの、アナちゃん？
ははは…とっても可愛かったけど、あたしの子にしちゃっていいのかな？

あちこち怪我してたから、お酒が抜けた時にでも手当しとくわね。

うん、ありがとう。あなうさぎ。
今は本を読むから使わなくなったけど、疲れたら使うといいよ。

ツィンカは、メルさんのことは好き？

っえほっ、ごほっ！
…急にどうしたの？

大丈夫よ。あたしはその内、またどこかへ流れていくから、神父さんを取っちゃったりしないから。
独りの方が気楽だし、ねぇ。

そうなんだ。
メルさんはツィンカのこと素敵な人だって言ってたよ。
ツィンカはどう思ってるのかな？って。

ふふふっ。

ホントにもぅ、あなたは可愛いんだから。

そうねぇ。
神父さんに褒めてもらえたなら嬉しいわ。
お礼は何がいいかしら？
いい加減、狼王様へのお供え物も用意しないとねぇ…

やっぱり、生肉とか？

料理の材料はきっと喜ぶよ。
メルさんいつも料理してる時は楽しそうだから。

ツィンカも気が向いたら、メルさんの特別な人になってあげてね。

なるほどー、そう言えば神父さんは料理好きそうね。

じゃ、今度何か買ってくるとしよっか！
お世話になってることだしさ。

よし、それじゃあたしは、そろそろ眠るよ。
アナちゃんも、付き合わせちゃってごめんね？
あなうさぎちゃん、大事にするわ。

…あはは。
気が向いたら、程度で落とせる神父さんじゃないと思うよ？
軽い気持ちじゃ、特別な関係になんて、なれないんじゃないかな。

ふふふっ。
それじゃ、おやすみ！

うん、おやすみ。

そっか。気持ちにも軽さや強さがあるんだ。
強い、絆。どういうのだろう？

ひゃ〜、すっかり朝帰りなっちゃった。

あっちゃぁ、鍵かかってるや。

仕方ないなぁ。

えと、ヒルダより、っと。

あ、これも。