う､うぅ…はっ！

こ､ここは一体…？

おぉ、気がついたかい？
ここは村の宿だよ。

村外れで君の姿を見つけたのだが、今にも逝ってしまいそうなくらい弱っていたのでな、連れてきたのだが、迷惑だったかね？

最初君の体が透けて見えていたりだとか不思議な事もあったが、いや、そんな事ないよな。

しかし、なんだ……何かあったのだったら話くらいは聞くよ。

あ､あぁ…そうですか。
って､私が透けて見え…？
ははは､嫌ですよ､まさか幽霊じゃあるまいし…

ん？幽霊…？

なにかこころあたりでも？

あっ､お礼も言ってませんでした！
わざわざ宿にまで運んでいただいて､ありがとうございます。

…えーっと､私はルイ。国の中を旅して回っています。
それと…

コイツが相棒のチルミルです。

えっと､それで幽霊ですけど…今何か思い出しかけたような…
うぅ､すみません。何か急に寒気が。

oO(…何か良くない事を思い出しそうな気がする。
　　そしてお医者さんにもお礼を言っていない気がする。）

そうか、そういうことなら、ま、気にするな。
必要ならばそのうち思い出すし、そうでないのなら忘れていたほうがいいということだろう。

そうですね。もし何か思い出したら､お話します。

えー…それで､その。
助けてもらってこんな事聞くのも失礼ですけど貴方は…？

わたしか。
そういえば自己紹介もまだだったな。

わたしはラドルフ、見ての通り戦いに身を置く者さ。　金次第であちらに加担したりこちらについたりとな。

君は旅をしているといったが、ならば最近あちらこちらでイザコザが頻発しているのを見聞きしているだろう？
それがわたしの飯の種だな。

今は前回の戦いがひと段落して休暇中といったところだ.　きな臭い話は絶えないのでそのうちお呼びがかかるだろうがね。

昨日暇にあかして郊外を歩いていたら、たまたま君を見つけたわけだ。
袖摺りあうもというが、見つけた以上はほっとくわけにもいかんだろう。

それでこの状況があるんだよ。

傭兵をされている方ですか。
oO(そうか…道理で､人一人軽々運べる筈だ…)
そうですね､最近政情が安定しないせいか各地で民衆の反乱がありますし､
クーデターの話や隣国が攻めてくる噂もあったり。
この辺りは戦いの兆しは無いようですけど､時間の問題でしょうか…

私は東に行こうと思っていて､たまたまこの村に。
少し前に立ち寄った町で聞いた話ですが
海沿いの絶壁を切り拓いた村があるそうです。
話だけでは満足できず､この目で見てみたいと思って。