―午前 5:00―
[起床したドロテアは、何時もの様に時計を合わせる。
シンプルで飾り気のない、鉛の時計。
価値があるとすればそう、正確に時を刻むその精巧さ。

57……58……59……00

05:00:00

変わらぬ一日が、今日も始まる。]

本日は時計の針に狂いなし、です。

今まで狂ったことなんてなかったのですから、当然ですのに。
昨日は……やはり村長の仰る様に、集会場の外は違う時間が流れている、ということなのでしょうか。

……まあ、おいおい理解ることです。
今は、御勤めを果たしましょう。

まあ、おはようございます。

[深々と一礼し]

神父さまは朝がお早いのですね。
御朝食は7時になっておりますが、簡単なものでしたら食堂に作り置いておりますので、どうぞご自由にお召し上がりくださいませ。

…また、同じ話…。
何度赦せば気がすむんでしょうね。
あの人は…。

[教会の告解室ドアには
　『出張中です　― とりあえず赦すので帰ってください ―』の張り紙がしてあることだろう]

[つられてお辞儀をして]
あ、おはようございます。

食堂にあったのはあなたが作ってくれたのですね。
ありがとうございます。教会は清貧の思考があるので久しぶりにあんな豪華なご飯を食べましたよ。

朝早くからもう準備してあるのですか？
[少し嬉しそうに食堂の方へ目を向ける]

いいえ、なにぶん私一人ですので、至らぬところも多々ございます。
少しでもご不便のございませんよう努力いたしますので、なにとぞご容赦ください。

[今朝の食事について問われれば、申し訳なさそうに]

お食事の方も昨夜から作り置いておりますので、風味の方まではご期待に沿えないかと存じますが……ご朝食までお待ちいただければ。

それでは、私は朝の支度がございますので、失礼させていただきます。

どうかごゆっくり、お寛ぎくださいませ。