時間泥棒が盗むのは、”その人が基準としている時計が刻む時”なのだろうか?〔ぼろぼろのマントの下から、金色の鎖のついた、てんとう虫の形の懐中時計を出してパチンと蓋を開ける。近くに座っていた人ならば、蓋の内側に女性の肖像がちらりと見えただろうか? かちかちと正しい時を刻むのを確かめ、再び蓋を閉める〕私の場合は、この時計ということになるのだろうな。。〔鎖を繋げたまま手を離すと、懐中時計はするりとマントの膝の上に落ちた。〕