よう、村長さんはここかい？
いやはやちっさいお嬢さんに叱られちまったぜ。ちゃんと集まりなさいってね。

[にやにやと笑いながら、集会所に顔をのぞかせる]

ふむ。ちっとばっかり時間が早かったかね？

[隠しから手ずれのした絹張りの小箱を取り出して、パチンと蓋をあけた。いわゆるトラベルクロックと言われているモノの様だ。花の象眼された瀟洒な文字盤を見て時を確認する]

ん…まあいい。また出直すかね。

ふぅ・・・
やっと羊達を捕まえる事が出来ましたよ・・・
どうやら振られてはいなかった様で一安心しました

しかし羊達と違って集会所に人はあまり増えてない様ですね

皆さん本当に時間泥棒に時間と盗られたのでしょうか？
［懐中時計を取り出し時間と存在を確認する。日の光を受けて時計は銀色に輝いている］
どうやら私はまだ無事のようですが・・・
他に時計を持ってる人を探して来るとしましょうか

なかなか集まらないみたいだねぇ。皆どこ行っちまったんだか。
［…は黒猫を伴って集会所に姿を見せると手にしたバスケットを机に置いた］
差し入れだよ。大したもんじゃ無いけど…サンドイッチ作っといたからね。腹を空かせたもんがいたら遠慮なく食べとくれ。

やはり時間泥棒の被害は出始めているようだな。
伝令とも連絡が取れぬようになってしまった。
…鳩を飛ばすか。

[ふらりと集会場に入ってくると、中を一瞥。片眉が少し上がった]
なんだ、行き違いだったか…。
呼ばれた様なので参上した。時間泥棒の対策とかやらはどうするんだ？
…ふむ。他にも誰か集まった奴が居るなら、待つか。
[椅子を適当に引き出し、老婆に会釈してバスケットからサンドイッチを取ると座って食べ始めた]
腹減ってたんだ。遠慮なくいただくな。

大変です。大変です。

[いつもは一分の狂いの無い足踏みがこの時ばかりは乱雑に、役場から駆けてきたのか息が激しく乱れていた]

昨日言った書類の件、やはりミスでも勘違いでも、もちろん私へのいじめでもありませんでした。
ええ、そうです、今日も上司は同じ書類を同じ時間に届け同じことを喋り同じように去っていきました。寸分の狂いも無くです。
上司はどうも時間にルーズな人でして、毎回何かしら遅れたり、ずれたり・・・その時間調整は私が毎回担当しているのですが、それくらい適当な人なのですが、そんな彼がこんな凝ったいたずらを出来るはずがありません。

[一旦言葉を切り、集会所の椅子に腰掛けた]

――間違いなく、その、まるでお伽話のような泥棒の被害にあってしまっているようなのです。

被害にあってしまった人は何時になったら戻ってくださるのでしたっけ・・・

[しばらく頭を抱えていたが、すぐ冷静に戻ったように]

ああ、人が増えていたのですね、よろしくお願いします
サンドイッチ、美味しそうですね。どれ私も一つ・・・

[しかしサンドイッチに伸ばした手は震えていた**]

もうしわけございません。
法王庁のお達しで別な村に赴任しなければならなくなりました。
人が揃っていないのにここを離れるのは心苦しいのですが。

　神父さま、赴任先かわっちゃった…？
　

　わぁ、ゼル婆さまのサンドイッチ！
　アナも欲しーい！
　たまごー♪

[バスケットに手を伸ばして、首をこてり]

　ぎゅんちゃん、おてて震えてるよ？
　ぐれごりんもちゃんと来たのねー

赴任先が変わってしまわれましたか。
残念ですが、お元気で。
法王庁でもごたごたしているんですかな。

…役人様の所にも現れたのですな。
我々の手で時間を取り戻し、また穏やかな日常を手に入れましょう。
役人様の同僚がそうだとすると、やはり伝令も…。

[ぶつぶつと何やら呟いている。]

[不機嫌そうにむっつりと扉をくぐると、抱えた荷物をテーブルの端で広げた]

よう、ちと場所借りる……何で昨日仕上げたはずのエルナの分が……。

[ぶつくさ言いながらも、布、裁ち鋏、針、糸を取り出す……仕事の続きをするようだ]

これが若しかして、時間泥棒とかいうのの仕業か。ああ、面倒事が……。

[嘆きながらも、手だけは黙々と仕事を進めていく。普段の態度と打って変わり、生来の女性的で滑らかな動きだ]

仕立て屋君のところでも、か。
サンドイッチはとっておくから心配いらんぞ？
腹が空いては戦は出来ぬ…だったか。

[唾を飲み込んだイゾルデを見て、微笑。]