/* …せっかくなので、生い立ちとかおとしてみようかな */
――人狼の父と人間の母を親に持つわたしがこの村に来たのは、たしか3歳くらいのときだったと思う。
わたしたち家族はずっと異端審問官に追われていて、このまま逃げ続けていても、いつかは全員捕らえられて処断されるのがわかっていた。(これはあとから母から聞いた話なのだけど)
そんな日々に疲れていたろうこと、そしてわたしと母だけでも生き延びてほしいと願った父は、幼いわたしと母を雪深いこの村に置いていずこかへ消えてしまった。その後の父の行方は知れない。