僕は悩んだ。それはやってはならないこと。どんなに助けれらない患者に出会っても、時をとめてしまうのは医者として絶対の禁忌。今までも助けられない患者に対してはそうやってきた。そのとき、僕は不意に思い出した。もしかすると退屈な毎日に辟易していたからかもしれない。あるいは、そんな日々を変えるためのきっかけを探していたからかもしれない。とにかく僕は、医者になった理由を思い出した。病気に苦しむ人を助け、元の笑顔を取り戻してもらうためだ。